美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

The End of the World

The End of the World
(Sylvia Dee)


◆世界の終わり◆



どうして太陽はまだ光っているの
どうして海は波を寄せているの
もう世界の終わりだって知らないんだろうか
だってもうあなたは私を愛していないんだから


どうして鳥はまだ歌っているの
どうして星は空で輝いているの
もう世界の終わりだって知らないんだろうか
あなたの愛と一緒に終わったのよ


朝目覚めて不思議に思う
どうして何もかも以前と変わらないでいるんだろう
本当にさっぱりわからない
どうやって命が続いていくのか


どうして私の心臓はまだ動いているんだろう
どうして私の目は泣いているんだろう
もう世界の終わりだって知らないんだろうか
あなたが別れを告げたときに終わったのよ



※※※

1962年にスキータ・デイビス(Skeeter Davis)が歌った歌ですが、その後たくさんの人にカバーされました。日本では「世界のはてまで」という題名で知られています。
失恋、別れの歌の決定版のような歌詞です。


このような思いは古今東西共通したものなのでしょう。
私は伊勢物語に出てきた次の和歌を思い浮かべました。


 月やあらぬ 春や昔の春ならむ 我が身ひとつはもとの身にして
(月は同じではないのか 春は昔の春ではないのか 私だけが以前と変わらないままなのに)


こちらの和歌は、恋を失って時を経て自分は以前のまま悲しみに暮れているのに、周りの時は流れている、という内容で、時の流れに取り残されてしまったような喪失感がよく似ていると思います。