美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

San Diego Serenade 【2回目】

San Diego Serenade
(Tom Waits)


◆サン・ディエゴ・セレナーデ◆



初めて朝を見たのは、夜通し起きていたときだった
初めて日の光を見たのは、明かりを消したときだった
初めて故郷を見たのは、あまりに長く離れていたときだった
初めてそのメロディーを聴いたのは、歌が必要になったときだった


初めて白い線を見たのは、君を置き去りにしたときだった
初めて君が必要だと気づいたのは、苦境につかまったときだった
初めて君を愛していると口にしたのは、いたずらに君を傷つけたときだった
初めて自分の心の琴線を感じたのは、ほとんど気がふれたときだった


初めて東の海岸を見たのは、西に移住したときだった
初めて月の光を見たのは、君の胸がその光を映したときだった
初めて君の心を見たのは、誰かが盗もうとしたときだった
初めて君の涙を見たのは、君の頬を流れ落ちたときだった


初めて朝を見たのは、夜通し起きていたときだった
初めて日の光を見たのは、君が明かりを消したときだった
初めて故郷を見たのは、あまりに長く離れていたときだった
初めてそのメロディーを聴いたのは、歌が必要になったときだった





※※※
この歌は、以前も取り上げました。
http://d.hatena.ne.jp/threeleaves/20110611/1307794120
ブログ始まって初の、同じ曲を扱った訳です。(間違いが多かったのでやりなおしたのはありましたが。(^^ゞ)


前に載せた時、訳をどうするかすごく悩みました。
というのも、この歌詞が、例えば1行目だと
Never saw the morning till stayed up all night
というもので、
日本語の語順できれいに訳するなら、
「夜通し起きているまで、朝を見ていなかった」となるのですが(これは前回の訳)、
歌としてメロディに載せると
「決して見なかった 朝を 起きているまで 一晩中」
と聞こえてくるのです。


文として自然にするか、歌として心に響いてくる順にするか。
英語と日本語の語順は違うので、悩むことがよくあります。
これまで扱った曲の中には、直訳ではないけど聞こえてくる順を重視したものもあります。


この歌に関しては、前回は悩んだ末に1行ごとに日本語の訳としての正確さを選びました。
でも、改めて歌詞を聞いていて、「やっぱり英語のこの語順だからこその味があるな」と思い、聞こえてくるように訳してみることにしたのです。


といっても、以前のも、あれはあれで間違いというわけではないと思うので、
別の訳として新しい記事にしました。
基本的には同じ訳で、語順の問題です。語順を変えたので、日本語として自然にするために内容が変わっていますけれど。
かなり印象が変わってくることと思います。
トム・ウェイツの歌としては、こちらの歌詞のほうが「正しい」かなぁ、と思います。


んんー、だけど「初めて」はちょっとニュアンスが違いますね。(だから前回はこの訳を採用しなかったんだな(^^ゞ)
もっと良い訳の言葉が見つかったら、直すかもしれません。