美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

On My Own (ミュージカル「レ・ミゼラブル」より)

On My Own
(Herbert Kretzmer)


◆一人きり◆



今、私はまた一人で
行くところも当てもない
家もなく、友達もなく
話しかけるような人もいない
でももうすぐ夜がきたら
あの人がいると空想できる


夜中、誰もが眠っている頃
私は時々一人で歩く
仲間であるあの人のことを思うと
幸せな気分になる
街はベッドに入り
私が生きるのは自分の頭の中の世界



私ひとりで
彼が隣にいるつもりになる
たった一人
朝まで彼と歩く
彼はいないけど
私にまわされた彼の腕を感じる
道がわからなくなったら目を閉じる
そうすれば彼が私を見つけてくれる


雨の中
舗道が銀のように輝く
灯りは川の中でにじんでいる
暗闇の中、木々は星明かりであふれ
私の目に映るのは永遠に彼と私だけ


わかってる。これはただの空想に過ぎないって
独り言を言ってるだけで彼と話してる訳じゃない
彼には何も見えていないけど
それでも私たちに道はあるはず


あの人が好き
でも夜が明ければ
彼は去り
川もただの川になる
彼がいなければ
私のまわりの世界は変わり
木の葉は落ち
街はどこもかしこも知らない人ばかり


あの人が好き
でも私は日々思い知らされる
私は幸せなつもりになっているだけ
私がいなくても彼の世界はまわっている
世界に溢れている幸せは私には無縁のもの


あの人が好き
あの人が好き
あの人が好き
でも、私は一人きり




※※※

ミュージカル「レ・ミゼラブル(Les Misérables)」のナンバー「オン・マイ・オウン」です。


初めてこの歌を聴いたとき(日本語の歌詞でした)、物語の筋はほとんど知らな
かったのですが、なんて切ない歌なんだろうと思いました。
後に、この歌の背景のストーリーを知って更にその思いを強くしたものです。


ウィキペディアレ・ミゼラブル」の説明から (文章の改編あり)
エポニーヌはマリユスに恋心を抱いたが、そのときすでに彼の目はコゼットに向け
られていた。それでも彼女は、マリユスのために影となり、彼の恋の成就を手助け
する。
それはすべてマリユスの笑顔が見たかったからなのであるが、その気持ちに気づか
ないマリユスは、彼女に笑顔を見せるという約束などすっかり忘れ、笑うかわりに5
フランを与えた。しかしそんなことがあっても決して彼への気持ちはさめなかっ
た。



実は、私はまだレ・ミゼラブルの舞台を見たことがありません。
いつかみたいと心から思っている作品です。