美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

Letztes Glück

Letztes Glück
(Max Kalbeck)


◆最後の幸福◆


ひとひらひとひら枯れ葉が舞う
静かに悲しげに枝を離れ
望みは叶うことなく
心は春の夢を描くのみ


しかし陽光は未だ残り
咲き残った薔薇の茂みを照らす
さながら幸福の最後のかけら
甘美な絶望のような…





Leblos gleitet Blatt um Blatt
Still und traurig von den Bäumen;
Seines Hoffens nimmer satt,
Lebt das Herz in Frühlingsträumen.


Noch verweilt ein Sonnenblick
Bei den späten Hagerosen,
Wie bei einem letzten Glück,
Einem süßen, hoffnungslosen.





※※※
マックス・カルベック(Max Kalbeck 1850年〜1921年)が書いた詩で、ブラームスJohannes Brahms)が「五つの歌(Fünf Gesänge)」という合唱曲の3番目に入れたものです。
詩人が書いた本当の詩は、どう訳しても原作の美しさを表すことはできないと思います。
それでも、秋になるとこの詩を思い出し、その雰囲気を伝えたくなってきます。