It's Too Late
It's Too Late
(Nanci Griffith)
◆もう遅すぎる◆
あなたはプールをゆったり泳ぎ、その話をする
私は本を読んでいて、そのことを考えている
私がページをめくっている間に
あなたは水の上を歩いていた
あなたは言う「こんなにいい天気なのに読書だなんて
いったい何が面白いんだ」
あなたは日なたにいるけれど
私はいつも日かげにいる
★
今更あなたから離れていくことはできないし
あなただって私が離れていくことはないってわかってる
今更あなたのことをわかることはできないし
あなたは知られるのが好きじゃない
あなたは決して私を抱きしめてはくれないし
私も抱かれるのは嫌い
それでも私はあなたをずっと愛していくんだろう
自分でも気づかないうちに
空模様が変わりゆくのが感じられる
木の葉は疲れ果て怒りの色に変わり
私たちの周りに
金色の涙のベールのように舞い落ちる
あなたは決して私を必要としてくれなかった
そして私も必要とされるのが得意ではない
この季節は私たちを置いて去っていくけど
私たちはこのまま留まっているのだろう
★繰り返し
私が遠くに行ったら寂しい?
雨模様の時には私にいてほしい?
私の写真は暖炉の上に飾ってある?
それとも火にくべてしまった?
年月は奇妙に過ぎてゆき
並んでいる私たちを置きざりにする
あなたは私のミステリー
私はあなたの欲望だった
★繰り返し
※※※
It's Too Lateというタイトルの歌は、いくつかあって、キャロル・キング(Carole King)の等はとても有名なのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、ナンシー・グリフィスの作品です。
水の上を歩く(walk on water)というのは、比喩表現で「(自信を持って)すごい
ことをする・奇跡を起こす」という意味です。
この歌では、部屋の中で本を読む私にとっては考えられないようなことをする、と
言うようなことで、自信ありげに「君はどうして外に出ないんだ?」と話す様子を
表しているように思います。
総てがぴったりという訳ではないけど、なぜだか一緒にいる、なぜだか好きという、燃えるような恋から時間がたってほんのりとしたぬくもりとなった愛情にのようなこの歌の雰囲気が、木の葉が舞い落ちる秋の情景と相まって、とても好きな歌です。
派手な盛り上がりのないメロディがまたとてもよくあっていると思います。
繰り返される「It's late, it's too late (もう遅い。今更遅すぎる)」というコーラスからは、後悔ではなく、今の関係のままでいいのだという心地のよい諦めを感じます。