美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

I Don't Know How to Love Him (ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」より)

I Don't Know How to Love Him
(Tim Rice)


◆あの人をどう愛すればいいのかわからない◆



彼をどうやって愛したらいいのだろう
どうすればいいのか、どうやったら彼の心を動かせるのか
私はすっかり変わってしまった
この数日、自分を見ていて思う
まるで別人みたい


どうすればいいのかわからない
なぜ彼は私の心を動かすのだろう
彼はただの男よ
私は今までたくさんの男たちと出会ってきたわ
そして本当に色んなことがあった
彼はその一人に過ぎないのに



彼を打ちのめしてやろうか
泣きわめいてやろうか
愛を語って
心をさらけだしたらいいのか
私がこんな風になるなんて思ったこともなかった
一体どういうことだろう



何だかおかしいわね
私がこんな立場になるなんて
私は今までは
いつだって落ち着いて、冷静で、
恋に振り回されたりしなかった
そんな彼が恐ろしい



私がこんな風になるなんて思ったこともなかった
一体どういうことだろう


それでももし彼が私のことを好きだなんて言ったら
私はとまどって、恐れさえいだくだろう
何が何だかわからなくて
顔を背けて逃げ出して
そんなこと知りたくなかったと思うに違いない
そんな彼がこわい
そんな彼が欲しい
そんな彼を愛している





※※※


ティム・ライス(Tim Rice)作詞、アンドリュー・ロイド=ウェバー(Andrew Lloyd-Webber)作曲のミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター(Jesus Christ Superstar)」のナンバーです。
日本語のタイトルは「私はイエスがわからない」です。


このミュージカルは、全編ロックミュージックだけで構成された、イエス・キリストの最後の数日を描いた受難劇です。
作中で、元娼婦であるマグダラのマリアがイエスに対する思いを切々と歌い上げるのが、この歌です。
実際には、イエスのそば近くに仕えたマリア(ベタニアのマリア)と、マグダラのマリア、それから「罪深い女」とよばれた人物とは別人であると考えられているそうですが、この作品では同一人物として描かれています。


このミュージカルは、劇団四季でも翻訳されてロングラン公演されていますが、私は何年も前に友人に録音で聞かせてもらった四季ではない訳詞がとても気に入っています。(一部不明な箇所はありますが)


  どうすればいいの
  彼を愛してる
  私 このごろ変わったわ
  そう、他の人みたいよ


  数えれきれない
  恋をした私
  彼も男よ 特別じゃない
  恋の相手の1人 それだけ


  忘れ去り 叫ぶのか (←この部分曖昧です)
  愛に燃え 羽ばたく
  思いがけぬ恋に
  とまどうの


私の知っている英語→日本語の訳詞で、内容があっていることと自然な言葉になっていることで、心の中でトップスリーに数えています。(最後の連はちょっと違いますけど…)
でも、誰が訳したものか、誰が歌ったものか、どこで使われたのか、今はもうわからなくなってしまいました。


この歌は、ラブバラードとしても美しい歌なので、カバーされることも多いようです。
うえで紹介したのはヘレン・レディ(Helen Reddy)が1970年に歌ったもので、ポップスらしい聞きやすい演奏となっています。
こちらで映画版の「ジーザス・クライスト・スーパースター」の動画をご紹介します。