美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

More Than a Whisper

More Than a Whisper
(Nanci Griffith, B. Nelson)


◆ささやき以上のものを◆



あなたに電話できたらな…去年の秋から話をしていないし
今、あの煙ったような会話が頭をよぎった
私は、あなたのことをちゃんと理解してるだろうか
それともこれは冬のワインのようなもの? …今夜舌の上に甘く広がって
あなたの優しい目を思い出す


  ささやき以上のものがほしい…ささやきよりずっと大きなものを
  この哀れなお馬鹿さんの目を覚ますにはささやき声では足りないよ
  ささやき以上のものをください…もし、愛していると言っているのなら
  ささやきだけでは私には分からないよ



北の国では雪が降っている…私は南から届いたあなたの暖かい言葉を読む
詩人たちの言葉によれば、あなたのことをこんな風に考えるべきじゃないようだけど
私の人生は今までずっと寂しかったから、あなたの言葉を誤解してるんですって
だからこうして銀に手を伸ばし、自分の心を火にくべてしまっているんだって


  ささやき以上のものがほしい…ささやきよりずっと大きなものを
  この哀れなお馬鹿さんの目を覚ますにはささやき声では足りないよ
  ささやき以上のものをください…もし、愛していると言っているのなら
  ささやきだけでは私には分からないよ



冬のワインでも飲もう…家に着いたら考えも変わるかもしれない
私はただあんな煙った夜のバーで「愛してる」とささやくだけ
詩人たちの言葉によれば私は寂しいってことだけど、今でもこんな女は私の中
私は風前の灯火の心で愚かになったことはない
そして私は心が通い合っている時に馬鹿だったことはないのよ


  だって、私にはささやき以上のものが必要なの…ささやきよりずっと大きなものが
  この哀れなお馬鹿さんの目を覚ますにはささやき声では足りないよ
  ささやき以上のものをください…もし、あなたが愛していると言ってくれているのなら
  ささやきだけでは私には分からないよ




※※※
ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)の「More Than a Whisper」です。
残念ながら動画が見つかりませんでした。
*後日見つかったので貼りました。


遠くにいる恋人、おそらくは遠距離恋愛をしている相手のことを思った歌、だと思います。
遠くにいて、電話もたまにしかできず、もう雪が降る季節なのに、秋からずっと声をきいていない…。
ここで歌っている「ささやき」とは文字通りのひそひそ声のことではなく、電話の受話器からの耳元で聞こえるだけの声のことでしょう。
電話の声だけでは不安で、もっと…会いたい、触れたい…そういう思いを語っている歌だと思います。
それでも、その思いの苦しさだけではなく、外から自分の心を見つめられる目を持ち、どこかしら今の苦しさを心地よく思っているような余裕も感じられます。


*訳について
・「北国」と対比させるために「南」としましたが、元の詞では「the plains」です。
プレーンズとは平野、平原のことですが、ここではミシシッピー川周辺地域のことです。
ナンシー・グリフィスの歌には、プレーンズという言葉が地名として良く出てきます。
・「心が通い合って」 my heart was on the line という歌詞です。
 「on the line」は、文字通りには「線の上で、線でつながっている」ということですが、電話がつながっている、という意味もあります。ここでは掛詞的に使われています。
・「銀に手をのばし」 I'm reachin' for some silver
 ごめんなさい。勉強不足のため、文字通りの意味にしかわかりませんでした。
 何かの比喩か、英語では何かのイメージ、ニュアンスを伝えられる表現だと思うのですが…。意味がわかれば、ここは直します。