美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

Trouble in the Fields

Trouble in the Fields
(Nanci Griffith and Rick West)


◆畑の苦労◆



畑は大変なことだらけだ
銀行家たちはイナゴみたい群がって私たちの収穫をむしり取っていく
列車が雨に打たれて銀色のサイロの脇を通り抜ける
彼らは私たちの空っぽのポケットを見捨て
残されたのは夢と黄金色の種だけ


ダウンタウンの駅の人の列を見たことがある?
みんな街を出る切符を買いながら、大恐慌の話をしている
私たちの親も50年前にひどい時を過ごした
雪のように積もる砂埃の中で空っぽの畑に立ちつくしていた



私たちの畑は大変だけど
雨さえ降ればこの傷は癒される
彼らは私たちが故郷の土まで奪いはしない
たとえ新しいトラクターを手放しても
汗と涙で耕せばいい
あなたがラバとなり、私が鋤となり
収穫期には苦労も実る
この大変な畑にもまだたくさんの愛がある



本棚にダストボウルの頃についての1冊の本
そこにはあなたや私の姿が少しずつ
どのページの写真にもある
今、私たちの子供は都会に住み、私たちに頼りながら生活している
みんな雨や寒い天気なんか好まない


★くりかえし


あなたはラバとなり、私は鋤となろう
収穫期には苦労も実る
この苦労の多い畑にもまだたくさんの愛はある




※※※
ダストボウル(Dust Bowl)というのは、1930年代にアメリカで起こった災害です。
アメリカの中央部に広がる大平原地帯(グレートプレーンズ(Great Plains)で、断続的に砂嵐が起こりました。
農場は壊滅的な被害を受け、職を求めてよその土地へ移住を余儀なくされた人も多かったそうです。(wikipedia:ダストボウル
またこの時期は、世界恐慌のまっただ中で、人々は苦しい生活を送っていました。
この歌が発表されたのは1987年です。


畑の仕事は決して都会の子が喜ぶ様な綺麗なものではない。それでも、雨は自然の恵み。この手で額に汗して働けば喜びもある。
そんな「man of soil(農夫、直訳:土の人)」の魂、生き方を歌っています。
繰り返し部分の最後の3行
 You'll be the mule I'll be the plow
 Come harvest time we'll work it out
 There's still a lotta love, here in these troubled fields
という歌詞は、初めて聴いたときから今でも、聞く度にじんと胸を響いてきます。