美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

Memory (ミュージカル「キャッツ」より)

Memory
(Trevor Nunn)


◆記憶◆



真夜中
通りからは物音がしない
月は記憶を失ったのか
一人で微笑んでいる
街灯の光の中、枯れ葉は私の足下に集まってくる
そして風がうなり始める


思い出
月明かりの下たった一人
私は古い日々を思う
人生が美しかった頃を
何が幸せだったか分かっていた頃を思い出す
思い出よ、よみがえれ


  街灯の瞬きは
  運命を警告しているかのよう
  誰かのつぶやき、揺らめく街灯
  そしてもうすぐ朝がくる


日の光
私は日の出を待たねばならない
新しい人生を思わねばならない
そして負けてはならない
夜が明ければ今夜もまた思い出に変わる
そして新しい日が始まる


  煙った日々は燃え尽き
  立ち込める冷たい朝のにおい
  街灯は消え、夜が一つ終わり
  新しい日が昇る


私に触れて
光にあふれていた日々の
思い出しか持たない
私から離れていくのは簡単なこと
もし私に触れてくれたら幸せとは何かきっとわかる
見て、新しい日が始まった




※※※


アンドリュー・ロイド・ウェバーAndrew Lloyd Webber)によるミュージカル「キャッツ(Cats)」の名曲です。
日本版でも「メモリー」というタイトルをつけられています。


タイトルはいつも大体直訳したものを載せることにしているので「記憶」としてみましたが、「過去」や「過去の自分」というような意味合いではないかと思っています。


ミュージカルでは、若い頃は美しかったのに今は落ちぶれた娼婦猫が歌っています。
しかし物語を離れて独立した物としても歌える内容なので、さまざまな歌手によって歌われています。
最近ではスーザン・ボイル(Susan Boyle)も歌っていました。


歌詞は、舞台によっては多少違うこともありますが、1つの楽曲として歌われるときには、今回ご紹介したバージョンが多いと思います。



舞台版(のうちの1つ)とその歌詞の訳を紹介します。



記憶
月を見上げて
思い出が導くままに
扉を開き入っていけ
そこに幸せの意味を見つければ
新しい命が始まるだろう


思い出
月明かりの下たった一人
私は古い日々にほほ笑む
人生が美しかったあの頃
何が幸せだったか分かっていた頃を思い出す
思い出よ、よみがえれ


  煙った日々は燃え尽き
  立ち込める冷たい朝のにおい
  街の灯は消え、夜が一つ終わり
  新しく日が昇る


日の光
私は日の出を待たねばならない
新しい人生を思わねばならない
そして負けてはならない
夜が明ければ今夜もまた思い出に変わる
そして新しい日が始まる


  夏の木々のすり抜ける日の光
  終わりのない仮面舞踏会
  花のように空が白んでいくにつれ
  記憶が薄れていく


私に触れて
光にあふれていた日々の
思い出しか持たない
私から離れていくのは簡単なこと
もし私に触れてくれたら幸せとは何かきっとわかる
見て、新しい日が始まった