美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

Pay Attention

Pay Attention


◆耳を傾けて◆



1日の静かな時間
あれこれ全部片づいて
話すことはなんにもない
でも、ほら、ちょっと注意してみて
シー。今、僕たちは聞いているところだよ


これからするお話
スクランブルエッグは金色をしてるとか
つららは冷たいということ
それにイモムシはつかむのが大変ということ
聞いてみて


お隣のお嬢さんなんか
気にしないで
ほら、聞き逃すよ
目玉が飛び出るようなことや
お口があんぐり開いてしまうようなこと
ほら、聞き逃しちゃうよ


大笑いはにんまり笑いぐらいにしておいて
親指くわえて
シー。針のように静かにね
落ち着いて耳を傾ける時間だよ




※※※

昔のセサミストリートSesame Street)の曲です。
たぶんこの曲調はジョー・ラポソ(Joe Raposo)によるものだと思います。
このころのセサミ・ストリートには、この人による美しい歌がたくさん使われていました。


この歌も、もしかしたら子供たちに「静かにお話を聞こうね」ということをいうための歌なのかもしれませんが、とても印象深く、初めて聞いたのはずっと前なのに今でも記憶に残っています。


ふと動画を検索してみたところ、最近投稿されたばかりなのを見つけたので、ご紹介することにしました。

Night Rider's Lament

Night Rider's Lament
(Michael Burton)



◆夜の馬乗りの嘆き◆



馬で出かけていた
日の出までの深夜の仕事
月は読書灯のように明るくて
故郷の友達からの手紙を照らした


彼はこう訊ねていた
「君はどうしてそんな暮らしをしているんだ?
大した稼ぎにもならないのにどうして?
どこに行き着くわけでもないし
もっといい生活だってあるのに
まったく気が知れないね」



手紙にはこうあった「昨晩ジェニーに偶然会った
結婚していい暮らしをしているよ
君がいないあいだ、何があったか気になるだろう?
彼女は今や立派にいいところの奥様だ


彼女はこう訊ねていたよ
『どうしてあの人はあんな暮らしをしているの?
大した稼ぎにもならないのにどうして?
どこに行き着くわけでもないし
もっといい生活だってあるのに
まったく気が知れないわ』」


だけど、彼らは北の空のオーロラを見たことがない
空を羽ばたく鷹を見たこともない
ロッキーにやってきた春を見たことも
それにあのカウボーイの歌も聞いたことがないんだ



手紙を読み終え、
黒人のジムのために切手をちぎってやった
ビルがそばに来て私を慰めてくれた
彼は手紙を見てにやりと笑った


彼はこう訊ねた
「何でみんなあんな暮らしをしているんだ?
大した稼ぎにもならないのにどうして?
どこに行き着くわけでもなく
もっといい生活だってあるのにね
まったく気が知れないね


彼らは今まで空に輝くオーロラを見たことがない
空を羽ばたく鷹を見たこともない
ロッキーにやってきた春を見たこともない
それにあのカウボーイの歌も聞いたことがないんだ」




ジェリー・ジェフ・ウォーカー(Jerry Jeff Walker)による


ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)による


クリス・ルドゥー(Chris LeDoux)による




※※※
初めて聞いたときから、大好きになった歌でした。
曲も心地よいし、歌詞も素敵です。こんな風に生きられたら、と思ってしまいます。
カウボーイの生活について、「なんでそんな大したものにもならない生活をしてる?」と問われる。
だけど、そこには町の暮らしにはない、陳腐な言い方をすれば「お金では買えない」ものがある。


これは作詞・作曲したマイケル・バートン(Michael Burton)の実際の体験から書かれた曲なのだそうです。
詳しくはわからなかったのですが、アリゾナの牧場で暮らしている、特に音楽活動などしていない人のようです。


上では3人の歌手の演奏をご紹介しましたが、ほかにも多数のアーティストによってカバーされています。
シンプルな暮らしを気取らない音楽で歌った歌に心を打たれる人が多いのでしょうね。


この歌は、ずっと前からこちらで紹介したいと思っていたのですが、「camp cookie」がわからず立ち往生していたのでした。
実は今もまだわかっていないのですが。(^^ゞ
でも、多分カウボーイに関係のある…カウボーイそのものか、そこでの歌とか歌の調子であるとか、そんな言葉だろう、と解釈して載せることにしました。
正しい意味をご存知の方、どうぞお知らせくださいませ。

More Than a Whisper

More Than a Whisper
(Nanci Griffith, B. Nelson)


◆ささやき以上のものを◆



あなたに電話できたらな…去年の秋から話をしていないし
今、あの煙ったような会話が頭をよぎった
私は、あなたのことをちゃんと理解してるだろうか
それともこれは冬のワインのようなもの? …今夜舌の上に甘く広がって
あなたの優しい目を思い出す


  ささやき以上のものがほしい…ささやきよりずっと大きなものを
  この哀れなお馬鹿さんの目を覚ますにはささやき声では足りないよ
  ささやき以上のものをください…もし、愛していると言っているのなら
  ささやきだけでは私には分からないよ



北の国では雪が降っている…私は南から届いたあなたの暖かい言葉を読む
詩人たちの言葉によれば、あなたのことをこんな風に考えるべきじゃないようだけど
私の人生は今までずっと寂しかったから、あなたの言葉を誤解してるんですって
だからこうして銀に手を伸ばし、自分の心を火にくべてしまっているんだって


  ささやき以上のものがほしい…ささやきよりずっと大きなものを
  この哀れなお馬鹿さんの目を覚ますにはささやき声では足りないよ
  ささやき以上のものをください…もし、愛していると言っているのなら
  ささやきだけでは私には分からないよ



冬のワインでも飲もう…家に着いたら考えも変わるかもしれない
私はただあんな煙った夜のバーで「愛してる」とささやくだけ
詩人たちの言葉によれば私は寂しいってことだけど、今でもこんな女は私の中
私は風前の灯火の心で愚かになったことはない
そして私は心が通い合っている時に馬鹿だったことはないのよ


  だって、私にはささやき以上のものが必要なの…ささやきよりずっと大きなものが
  この哀れなお馬鹿さんの目を覚ますにはささやき声では足りないよ
  ささやき以上のものをください…もし、あなたが愛していると言ってくれているのなら
  ささやきだけでは私には分からないよ




※※※
ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)の「More Than a Whisper」です。
残念ながら動画が見つかりませんでした。
*後日見つかったので貼りました。


遠くにいる恋人、おそらくは遠距離恋愛をしている相手のことを思った歌、だと思います。
遠くにいて、電話もたまにしかできず、もう雪が降る季節なのに、秋からずっと声をきいていない…。
ここで歌っている「ささやき」とは文字通りのひそひそ声のことではなく、電話の受話器からの耳元で聞こえるだけの声のことでしょう。
電話の声だけでは不安で、もっと…会いたい、触れたい…そういう思いを語っている歌だと思います。
それでも、その思いの苦しさだけではなく、外から自分の心を見つめられる目を持ち、どこかしら今の苦しさを心地よく思っているような余裕も感じられます。


*訳について
・「北国」と対比させるために「南」としましたが、元の詞では「the plains」です。
プレーンズとは平野、平原のことですが、ここではミシシッピー川周辺地域のことです。
ナンシー・グリフィスの歌には、プレーンズという言葉が地名として良く出てきます。
・「心が通い合って」 my heart was on the line という歌詞です。
 「on the line」は、文字通りには「線の上で、線でつながっている」ということですが、電話がつながっている、という意味もあります。ここでは掛詞的に使われています。
・「銀に手をのばし」 I'm reachin' for some silver
 ごめんなさい。勉強不足のため、文字通りの意味にしかわかりませんでした。
 何かの比喩か、英語では何かのイメージ、ニュアンスを伝えられる表現だと思うのですが…。意味がわかれば、ここは直します。

I Saw Mommy Kissing Santa Claus

I Saw Mommy Kissing Santa Claus
(Tommie Connor)


◆ママがサンタクロースにキスしてるのを見たよ◆



ママがサンタクロースにキスしてるの見ちゃった!
きのうの夜、ヤドリギの下だったよ
ママはボクに気がついてなかった
階段おりて、こっそり見てたのに
もうお部屋でお布団に入って
ぐっすり寝てると思ってたんだ


で、ママはサンタクロースをこちょこちょしてた
真っ白のおひげの下のところ
もしパパが見てたらどうしよう!?
笑っちゃうね
きのうの夜、ママがサンタにキスしてたなんて!






※※※
日本語でも有名なクリスマスソング「ママがサンタにキッスした」です。
日本語版は英語のオリジナルとは内容が違うんですよね。サンタが本当はパパだと知ってるので、英語版より少し年上の子供でしょうか?(^^;
英語版は、サンタをサンタだと信じている歌詞のところがかわいらしいと思います。


私はこの歌はジャクソン5(マイケル・ジャクソン The Jackson 5 / Michrael Jackson )の印象が強いのですが、オリジナルは1952年のジミー・ボイド(Jimmy Boyd)だそうです。
他にも色々な歌手がカバーしていますが、私は少年時代のマイケルの高く澄んだ声で歌っているのが、この歌詞に一番あっているように思います。

Goodnight to a Mother's Dream

Goodnight to a Mother's Dream
(Nanci Griffith)



◆母親の夢にお休みを◆


瓶のふたをはじいて月の輪にくぐらせる
たった一人の土曜の夜、降るような星
私は母の夢の姿だった
この丘に家を建てたのは
全部私の意志
私には二人分には十分な愛があるけど
それは私と昔なじみの月のためのもの


海をゆく水夫達
彼らはみんな船長の娘を求める
彼女の美と若さを求める
海に突き出した彼らの舳先を美しく飾るために
私はもう若くないし、
見てくれも悪い
母の夢がつまった陸に降り立つ
たぶんお母さんは気づかなかったんだ
ただ愛こそが
娘に必要なものだったって



私は弱った心
壊れる価値もない
私は遅咲きのバラ
母親の夢だけを抱いて
この人の通らぬ道で
誰が本当に分かっているのか
たぶん弱り切った心こそ
本当に美しいものだと



瓶のふたをもう一つ月に向かってはじく
たくさんの仕事を告げる朝の電話
でも部屋に入って後ろ手にドアを閉めると、
お母さん、本当のことを言うわ
あなたの夢は放り出したくなる
愛する人からの
愛しているという言葉を聞くために



お休みなさい、お月様
「愛してる」と月に言おう
そして母にも
お月様、ブエノス・スエニョス(良い夢を)




※※※

日本人は昔から月に特別な思いを寄せてきましたが、こんな歌を聴くと、西洋の文化でも似たような感情があるのかな、と思います。
私のこのブログで紹介した訳でも、いくつか月に関して歌ったものがあります。(「Memory」や「Grapefruit Moon」など)
この際なので、「月の歌」というカテゴリを作ることにしました。
だけど、そのほとんどが「人生の歌」のカテゴリと重なるんですね。やはり西洋でも月を見ては思い悩むということに共感を持つ人が多いのでしょうね。