She Ain't Goin' Nowhere
She Ain't Goin' Nowhere
(Guy Clark)
◆どこへ行くのでもなく◆
彼女は道にたたずみ、去っていこうとしていた
親指をそよ風の中に突き立てた
すべてを持って、どこか向かっていた
彼女はそんな風に生き、それが彼女の望む生き方だった
★
どこへ行くというのでもなく、ただ去っていくのみ
行くあてがあるわけではなく、息が詰まるだけ
ただ、彼女は家に戻るわけではないことは確か
彼女はスーツケースに座って泣いたりなんかしない
道路の脇にいて、考え直したりしない
少し心の修理が入り用な気がするけど
それを口に出して文句を言うこともなかった
★繰り返し
風の道には彼女の髪
憂鬱な心の道には彼女の微笑み
彼女にあったのは彼女の道
まるで犯罪者の道にはファイルがついて回るかのように
★繰り返し ×2
※※※
最後の節の元の歌詞は、こうです。
The wind had a way with her hair,
And the blues had a way with her smile.
And she had a way of her own,
Like prisoners have a way with a file.
「have a way with 〜」で、「〜の扱いが上手い」という意味です。
だから、ここはその通りに訳せば、
風は彼女の髪をもてあそび、
憂鬱な気分は彼女の微笑と戯れる
とでも訳したいところです。
でも、その次はどうしても「彼女には彼女の道があった」となるので、同じ言葉の繰り返しという部分を大切にして、上記のような訳にしました。
握りこぶしで親指だけを突き出して手をかざすのは、ヒッチハイクするしぐさです。
町を出る方向の車線に立ち、贅沢な旅ではなく、ただ去ろうとしている…そんな様子です。
この歌は、ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)のアルバム「Blue Roses from the Moons」の最後の曲です。
このアルバムは、初めの方では、恋人・夫婦の幸せな歌(「Gulf Coast Highway」など)、それから中盤で破局の歌(「Is This All There Is?」など)、そして明日へ向かう歌(「Maybe Tomorrow」など)という展開になっています。
最終曲のこの歌は、傷ついた心を抱えたまま、それでも次へ向かっていくような寂しげながら、どこか力強さも感じられる曲です。
※2014,6,11動画を追加しました。
ガイ・クラーク(Guy Clark)のものと、ロドニー・クロウェル(Rodney Crowell)によるものです。