美しい歌 ~好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

好きな歌の訳、解釈、若しくは雰囲気の紹介

Across the Great Divide

Across the Great Divide
(Kate Wolf)


◆大山脈にまたがって◆



私は今までまどろみの中を歩き続けてきた
羊の代わりに悩みの数を数えながら
月日がどこへ流れていくのか私は知らない
ただ振り返れば、そこから消え去っている


今までずっとふるいにかけられてきた
埃だらけの本とすすけた紙の1枚1枚に
ページが語るのは昔見知った物語
ずっと前にあったこと


  それは昨日の中へと消え去った
  気づけば私はこの山の上
  ここは川が流れを決める場所
  大山脈にまたがって



聞こえてくるのはフクロウの声
夜のとばりのように柔らかな
その問いかけに答えたけれど
声は闇の向こうに消え去った


  声は昨日の中へと消え去った
  気づけば私はこの山の上
  ここは川が流れを決める場所
  大山脈にまたがって



今まで見た中で一番良い時間
それがやって来るのは
夜の端と夜明けの狭間
それは暗闇が遠ざかっていく時間


  それは昨日の中へと消え去った
  気づけば私はこの山の上
  ここは川が流れを決める場所
  大山脈にまたがって


  それは昨日の中へと消え去った
  気づけば私はこの山の上
  ここは川が流れを決める場所
  大山脈にまたがって




※※※
タイトルにある「the Great Divide」とは、直訳すれば「大きな隔たり」とでもなるでしょうか。これは、ロッキー山脈の別名で、巨大な分水嶺という意味です。
ロッキーを源とする川は、太平洋、大西洋、北極海と、世界の大洋に向かってそれぞれ流れ出し、二度と出会うことはないのです。


この歌を歌ったケイト・ウルフ(Kate Wolf)は若くして亡くなりました。
それを惜しんだナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)がこの歌をカバーし自分のアルバムに収録しました。
そのアルバムの日本盤では「ロッキーを越えて」という題名がつけられています。
1977年の映画に同名の「Across the Great Devide」というのがあり、その日本語の題名が「ロッキーを越えて」だそうです。
この歌がこの映画と関係があるのか、単に同じ題名なので同じ訳にしたのかはわかりません。


私は、歌の内容から、人生の大いなる分岐点となる大山脈という意味で、あえてロッキーという言葉を使いませんでした。



ナンシー・グリフィスのバージョンもご紹介しておきます。